羊と虎
電車で5駅程先で降りる予定をしていたが、先程の疲れた顔が気になり、3駅先で電車を降りる。
当初の目的地では無いが、ここにもお勧めの店があったからだ。
駅の改札を出る頃には、疲労の色は濃くなるばかりで段々心配になって来た。
もう一度声を掛けようかと凱の腕をとった時、違和感の正体に気付いた。
『熱・・・がある』
無意識に手を伸ばして凱の額に触れていた。
「「!?」」
お互い驚いた顔をした。
『熱い。相当熱が高い』
「風邪をひかれたんですか?」
「いや・・・・熱があるだけだ」
「熱があるだけって、こんなに熱かったら相当高いですよ!」
「大丈夫・・だ・・。」
先程とは違い浅い呼吸に立っているのも辛そうだった。
「どうみても大丈夫じゃないです!帰りましょう。タクシーを拾ってきます!」