羊と虎
そこには、有名財閥の会長や、社長、俳優等、大物が集まっていた。
「・・・分かりました。
杏奈はここで待ってて下さい」
大きくため息をついた後、渋々と言った面持ちで集団の居る方向へ足を進める。
『頑張って・・・って仕事モードの凱なら大丈夫か』
隙の無い仕事モードの凱を見て、自分の考えに苦笑する。
「それで、あれから進展したのか?」
すぐ横から、凱より更に低めの威圧感たっぷりの低い声が聞こえてきて、慧の存在を思い出した。
「・・友達ですから、進展するも何も・・!」
答えながら横を向くと、想像以上に近い位置に慧の顔があった。
「ち、近い・・デス」
慌てて下がろうとして、足の痛みに息をのむ。