羊と虎

そこには、有名財閥の会長や、社長、俳優等、大物が集まっていた。

「・・・分かりました。
杏奈はここで待ってて下さい」

大きくため息をついた後、渋々と言った面持ちで集団の居る方向へ足を進める。

『頑張って・・・って仕事モードの凱なら大丈夫か』

隙の無い仕事モードの凱を見て、自分の考えに苦笑する。



「それで、あれから進展したのか?」

すぐ横から、凱より更に低めの威圧感たっぷりの低い声が聞こえてきて、慧の存在を思い出した。

「・・友達ですから、進展するも何も・・!」

答えながら横を向くと、想像以上に近い位置に慧の顔があった。

「ち、近い・・デス」

慌てて下がろうとして、足の痛みに息をのむ。
< 219 / 320 >

この作品をシェア

pagetop