羊と虎
第7章


気付けば凱のベッドでのうのうと眠っていた。

慌てて跳ね起きるとそこには、椅子に座ったまま、ベッドに伏せて眠っている凱の姿があった。

『激しい既視感が・・・』

タクシーの中で意識を手放した自分を殴り倒したい気分だった。

前も眠ってしまって、家主のベッドを占領した事を思い出し、居た堪れない気分になる。

とにかく早くこの布団から抜け出し、非礼を謝らなければとベッドを降りようとした。

「!!」

自分の足を見て怪我した事を思い出した。

そう言えば明け方痛み止めが切れて目が覚めた時、凱が痛み止めを飲ませてくれた事を思い出す。

『確かに責任を取るって言われたけど、流石にコレは無いよね』

自分の家に帰ると行っておきながら、結局寝落ちして凱のベッドを占領した挙句、凱を椅子で寝かせている。

さらに、昨日のドレスを着たまま、化粧も落として居ない自分は、かなり酷い状態だろう。

『そりゃぁ女として見てもらえないよね』

先程までの慌てぶりから一転気分は急激に下降していく。
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