羊と虎

盛大にため息をついた時、凱が身じろぎした。

『ヤバイ、起こした?!』

慌てて息を潜めるが、凱が目を覚ますのを停められなかった。

「・・・おはよう杏奈。痛みは大丈夫?」

まだ眠たげな顔で心配そうに杏奈を見るその姿に、ドキリと鼓動が跳ねた。

「あ、うん。お陰さまで。ゴメンネ。
ベッド占領した挙句、看病までさせちゃって」

「気にしないで、それより痛みが出たら直ぐに言ってね」

「うん。ありがと。
でも、凱はちゃんとベッドで寝て。そんな体勢じゃ疲れなんて取れないよ」

そう言って布団を捲ってココに来いと手でポンポンと敷布団を叩く。
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