羊と虎

「お前、自分の事には無頓着だな」

その時、緊張の糸が切れたような気がした。

「見ないフリをしてたら、元に戻るかな・・と思っ・・て」

凱と会う前の自分を取り戻そうと、気持ちに蓋をして、何時も以上に頑張ってみた結果が皆に心配されている。

「川の流れと一緒で、1度動き出したら元には戻らない。」

山葉の言葉に胸が潰れそうになった。

「でも、形を変えて行く。螺旋の様に同じに見えて少しずつ進んで行く」

続く言葉にハッとした。

「まぁ難しい事は考えないで、今は愚痴ってみろよ」

鈴木の明るい言葉に全部ぶちまけてしまいたい衝動に駆られた。
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