羊と虎
「!?」
「さぁ起きよう」
サッとベッドから降りて寝室を出た。
「ダレ?アレ?」
凱の甘い態度に頭の中は疑問符で埋め尽くされた。
『私・・何したんだろう?情熱的って?!』
ベッドの上で青くなっていると、リビングの方から凱が呼ぶ声が聞こえて来たので、慌てて寝室を出る。
身支度を整えてから凱の所に行くと、美味しそうな朝食が並んでいた。
「頂きます」
手を合わせて朝食を口にするが、何時もと違って凱の視線が気になって、味が良く分からない。
『何で何も言わないんだろう・・・思い出せって事?でも思い出す自信が無いし・・・』
視線に気付かないフリをして食事を進めるが、お味噌汁と飲む時、うっかり目があってしまい慌てる。
「が、凱は食べないの?」
「今日はコーヒーだけでいい」
笑いながらそう答えているが、笑い方が何時もと違って、色気があって落ち着かない。