羊と虎

そろそろお前も見合いをしてはどうかと、話が来ている。

「ちょっと待って!兄さんの方が先でしょ?!」

「あぁ、俺は政略結婚だから見合いはしない。」

「!?」

事も無げにさらりと言った兄を、驚きの眼差しで見る。

「それで・・いいの?」

「別に構わない」

昔から何を考えているのか分からない所があったが、政略結婚でも構わないとは思わなかった。

それは諦めから来ているのだろうか?

「お前は見合いで気に入った相手と結婚すれば良い」

「お見合いで気に入った相手に出会えるとは思えない」

「まぁ、1度してみれば案外上手く行くかもしれないぞ」

本気なのか冗談なのか掴めない台詞にため息が出た。
< 298 / 320 >

この作品をシェア

pagetop