羊と虎
「見合いの席にいきなり割り込んで申し訳ありません」
麻生に向って深々と頭を下げる。
「私は凱用事が有るので非礼を承知でココに来ました」
杏奈と麻生はお互いの目を真っ直ぐ見つめている。
その様子は緊迫しているようで、凱が口を挟める雰囲気ではなかった。
「それで?どんな用事かしら」
「はい!私、今回のお見合いをぶち壊しに来ました!」
「えっ!?」
仕事用のポーカーフェイスが遂に崩れて、驚きの顔になる。
「物騒な話ね」
面白そうな顔をして話す麻生に対して、驚いた顔をしている凱。