羊と虎

週末は実家に帰り、平日は神取の居る道場に稽古に行いっているが、これが案外キツイ。

仕事を出来るだけ早く片付けるように、実力以上の力を出して頑張らないとダメで、食事が疎かになってきた。

でも、筋肉の為にたんぱく質が必要だから、無理して食べたり、プロテイン飲んだりと、自分なりに頑張っていたつもりだった。

「おい、小鳥遊大丈夫か?」

「ほへ?」

「ほへって」

杏奈より一つ先輩の鈴木(すずき)が苦笑していた。

「あ、いえ、ちょっとボーっとしてました」

「そんなんじゃ、この修正プログラム、任せられないな」

入社当初からこの課に配属されている鈴木は、プログラム開発に携わっている。

杏奈はまだ修正程度の処理しかさせてもらえず、実力の差を見せつけらて悔しい思いをしていた。

「え!?修正ですか?!させて下さい!頑張ります!」

頭上にある、指示書を受け取ろうと、手を伸ばすがギリギリの所でかわされて取る事が出来ない。

猫が猫じゃらしにじゃれるような格好になっていたのを、鈴木と同期の山葉(やまは)が見つけてお腹を抱えてる。
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