羊と虎
「鈴木さん!」
「悪ぃ悪ぃ。猫じゃらしに戯れる猫みたいで可愛くて、つい」
「ついって・・・」
手元に指示書が来たが、素直に喜べなくて、複雑な顔をしてしまう。
「からかい過ぎだろ」
『山葉さんが笑いを堪えながらそういうんだけど、説得力が無いのよね。』
二人とも、黙っていればいい男の部類に入るのだろうが、口を開くと人をおちょくって遊ぶから性質が悪い。
しかも、大事な時には頼りになるから、憎めないんだよね。
杏奈の事など忘れて二人は今日の夜の話を始めていた。
山葉は鈴木と同期で、鈴木よりちょっと体つきが逞しく、フリークライミングをやってるらしい。
背は175cm位ある。
鈴木は細身のスーツが似合う、山葉より少し低めの170cm位だった。
『この課って結構イケメン揃いって噂されてて、この課に配属された時、羨ましがられる反面、嫌味を言われた事を思い出した。』