羊と虎
「5位!?凄いじゃない。」
「えぇー。3位以内に入りたかったよ」
「でも、全国で5位でしょ!やっぱり凄いよ」
「ありがと、美優ちゃんにしか話せないから、そう言って貰えると嬉しいよ。
怜苑なんて、仕事優先させて怠けてるからだ。って言ったんだよ。確かに仕事優先してるけど、それでも頑張ったつもりだったから凹むよ」
しょんぼりとうな垂れて、最後の方は声も小さくなっていく。
「ホントの事だよ!仕事遅くまでやりながら、トレーニングもやって、土日に道場で稽古。
私なら途中で倒れちゃってるわ」
杏奈の柔らかいふわふわの髪を撫でながらそういう。
「まぁそこを褒めてくれる人が回りに居ないもんね」
しみじみと言ってくれる美優に癒される思いだ。
「美優ちゃんは、私の女神様だよ」
会社で鈴木の言葉に、嬉しくなり、更に今の美優の言葉で凹んだ気持ちが元に戻った。