羊と虎

『そりゃ怖いよね。自分の隠したい所を知られたら』

「それも含めて、やっぱり1度あってみたら?」

「えぇぇぇ!! 無理だよぉ」

目に一杯の涙を浮かべて、今にも泣き出しそうな顔をしている。

「でも、ずーっと怯えて暮らすよりも、1度ちゃんと会って、自分の事話して興味を失ってもらうしかないんじゃない?」

「えぇぇ。そんなぁ・・・無理だよぉ」

凄い勢いで頭(かぶり)を振って否定する。

「私が本田さんに話そうか?」

「でも・・。」

「じゃぁこのまま放置する?本田さん諦めるかな?」

美優をみると不安そうな顔をして、何か話そうと口を開くが言葉にならずに、パクパクと動くだけだった。

「まぁ、自分で言いにくかったら言ってね。何時でも本田さんに言うから」

安心させるように自分の武器である、可愛らしい容姿を利用してにっこりと笑いながらそう伝えると、効果覿面でホッとした顔をした。
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