羊と虎
「俺は父が外に作った子供だ」
「え?」
信じられない衝撃の告白に、思考だけではなく動きも止まってしまった。
「よく正妻が家に乗り込んできて、罵られたもんだ」
「だが、俺に非は無い。だから気にしなかった。
まぁ学校でも言われたが、俺の事を知らないヤツに色々言われても構わなかった。
俺の事を分かっているヤツが回りに居たからな。
それで十分だった。」
淡々と過去を話す本田とは逆に、顔を歪めて今にも泣きそうな雰囲気の杏奈。
「私は・・・そんなに強く無いです。
好きになった相手に、容姿と中身が違うとか、男より強い女なんて女じゃないとか言われたら、悲しいです」
その顔を見られたくなくて俯いてしまう。
「そうだな。好きな相手に言われるのと、どうでもいい相手に言われるのとでは違うな
でも、ありのままの自分を受け止めてくれる人が必ず居るし、そんな相手を好きになれたらいいな
だから、諦めるな」
そう言いながら、大きな掌で頭を撫でられる。