羊と虎
「小鳥遊、本田さんと何かあった?」
「え?本田さんと?別に何も無いです」
腹を割って話してから数日後、鈴木がそんな事を聞いて来た。
「何か今までと違う気がする」
違う事は分かるのに、何が違うかが分からず、言葉がぼやけている。
『うーん。そんな風に見えるんだ。まぁ、気兼ねしないようになったからなか』
鈴木との距離も縮んだが、それでも腹を割って話した本田とは縮んだ距離が違う。
その部分が何かに繋がっているのだろう。
あれから特に親しくしているつもりは無いのだが・・と杏奈は内心思った。
「そうですか?どんな感じに違うんですか」
「それが、よく分からないって言ってるだろ」
「じゃ、気のせいですよ。気のせい」
「うーん。納得できない」
悩んでいる鈴木を放置して仕事を始める。