超レ欲ス
実際、香田と俺は世間的に言う、パシリとパシラセの間柄だろう。
……ん?
いやいや、やっぱ待った。
こういうと語弊がある。
勘違いしないでもらいたい。
あくまで俺はパシリであって、べつにいじめられているってわけではない。
香田正人という男は誰にでもこうなのだ。
こういう奴なのだ。
厚顔無恥でオレサマ気質。
誰にだって馴れ馴れしく、誰とも仲良くはなれない。
けど当人は気にせず馴れ馴れしく、周りはウザがっている。
言うなれば、気にしないバカ。
それが香田という男を表すのに一番手っ取り早い。
そして、俺と奴は昔から交流があって周りには親友と思われているフシがあるっぽい感じなので、だからなのか余計に馴れ馴れしくって、メール本文十字以内で俺をパシる……。
……ん?
いや違う。
違うぞ。
俺だって好きで奴のいうことを聞くわけではない。
しかし――これ考えるとやりきれんし、やってられんのだが――本人にはなに言ったところでムダなのだと、三年前に確信してしまったのだ。
だからそうして以来、もう俺は気にせずパシられることにしているのだ。
それだけのことなのだ。
……いや……、それだけのこれこそが、まさに情けないと言われればそれまでなのだが……。