超レ欲ス

「だって走って逃げたら追いつかれるだろ?泳げばおやじ、ビビって追ってこないと思ったんだもん」

だもん☆じゃねー!

「現に追ってきてないし」

そりゃ呆れて追う気も失せるわ!

「志田、川で死ぬ人が年間どのくらいいるか知ってるか?」

「え。死ぬの?」

「バカ!どんなに泳ぎ慣れた人間でも油断すりゃ死ぬことだってあるだろ!水ん中じゃ息できないんだからな!ましてや服着たままってな!」

「確かに、重かったな」

「当たり前だ!だいたい墓参りするぐらい、なんでイヤなんだよ。親の墓だろ?」

「え?イヤじゃない?」

「だからなんで」

「だって、知らん人みたいなもんだし。えっと、こえーじゃん」

「ハァ?」「……マジバカだ」

「怖いって、子どもかおまえは!」

俺がそう言うと志田は、むっと表情を強ばらせた。

< 112 / 235 >

この作品をシェア

pagetop