超レ欲ス
山堂川のあの場所から徒歩五分弱。
俺んちがある、まだもうちょっと手前の、片須加《かたすか》と古馬《こば》のちょうど境あたりにコイツ、香田の住むアパートがある。
あれから、とにかくびちょびちょでおハナシにならない志田をここへ連れてきて、香田が風呂と洗濯機を提供してくれたのであった。
ちなみに、香田の家は両親共働きのため、ここにいるのは俺たち三人だけである。
香田本人は、「いいって。気にすんな」と気のいい返事で上げてくれたのだが。
……本当にいいのか、これ?
そんな俺とは対照的に、気にせず上がれと言われれば気にせず上がってしまう志田は、ひとっ風呂浴びてさっぱりし、洗濯脱水しただけの湿ったパンツ一丁である。
他の洗濯物はただいま香田くんの部屋のベランダにて、そよそよとなびいている。
で、俺たちが今何をしているのか、だが。
いやはや、まったくもって、「なんで?」と首を傾げたくなる現状である。
俺は今、志田に携帯電話の正しい使い方をレクチャーしているのだった。