超レ欲ス

ちなみに、そんなコイツのケータイはずぶ濡れで、当然ぶっ壊れていた。

今俺が手とり教えるのに使っているのは、志田が風呂に入っているあいだに香田と、お近くのケータイショップへ行って八十円で交換してもらった、何世代か古いものである。

八十円といえど当然貸しだ。

電話しかできない奴には、コレでも贅沢なほどなんだから。

まぁそれはともかく。



「で、ここを押して、送信」

俺のケータイに着信音。

それを取って、画面を開き志田に見せてやる。

画面には『こんにちはばんばんじい』。

「ほら、な?ちゃんと届いただろ?」

そしてまた、おおー!とうなるバカ。

……はぁ。

こんな感じで教え続けて一時間。

志田の奴、本当になんも知らなかったわりには飲み込みは早いようで、メールの送信、受信、アドレス帳の(正しい)扱い方など、一通りの説明を終えたころには、つたないながらも一応に扱えるようになった。

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