超レ欲ス

「ハル、親父がほら、なんか訊いてるぞ」

なぜか俺がそれをフォローしてやったりする。

「……普通」

言葉少なに三文字(漢字だと二文字)回答。

「そ……そうかそうか!ハルは相変わらず賢いよなぁ!テルとえらい違いだ!」

またガハハと笑う親父。

しかし今度のは少し乾いた笑いである。

無理から笑っているのが見え見えだ。


嶋村春巳はお年頃である。

いわゆる、

「キャーヤダァ!おとーさんといっしょのお湯でお風呂なんて入れなーい!バッチー!」

な、微妙で繊細(センサイ!)なお年頃なのだ。


だからして、ハルは親父にあたりがキツイ。

しかし当の親父は、ハルと仲良くしたいらしい。

そうしてこんな不毛な、ネコとネズミの駆け引きみたいなやりとりが我が家ではまま見られるのだった。

で、そのとばっちりは大概にして……。

「こらテル!野菜もっと食え!オメーは肉ばっか食ってっから、そんな馬鹿なんだよ!」

こうやって俺に飛んでくるのだった。

てゆうかメインが豚のショウガ焼きで野菜ってナニ?

もしかしてショウガ?

え……、いやがらせ?

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