超レ欲ス

「私も……メールしないんじゃなくて、できないんだって言ったら、嶋村くん、どうする?」

浅瀬晴美がこう言ったのは、もう一週間も前のことになる。

俺はもちろん聞き返した。

「どういうこと?だって普通にメールくれたじゃない?」

すると、彼女はこう言ったのだった。

「私もう我慢できない。ユタカとも、誰ともメールなんてできないわ。だって!私の目にはもう貴方しか見えないもの!だから他の人にメールなんてできない!私、嶋村くんのことが、好きだから!」

………ウソである。

正しくはこう言った。

「私、実は昔、メールでトラウマ作っちゃってて、送るのにすごく勇気がいるっていうか……変な言い方だけど。気軽にメールするってのが、私にはどうしても……わからなくって。だから、最低限のことしか、メールできないってゆうか……」

なんと、メールにトラウマ!

なにがどうしてどうやって!

いや、もちろんその由来を追求したりはしなかった。

こんな俺でもデリカシーの多少くらいは持ち合わせていたりするのである。

しかし、それなら納得できる節があった。

< 132 / 235 >

この作品をシェア

pagetop