超レ欲ス
「私も……メールしないんじゃなくて、できないんだって言ったら、嶋村くん、どうする?」
浅瀬晴美がこう言ったのは、もう一週間も前のことになる。
俺はもちろん聞き返した。
「どういうこと?だって普通にメールくれたじゃない?」
すると、彼女はこう言ったのだった。
「私もう我慢できない。ユタカとも、誰ともメールなんてできないわ。だって!私の目にはもう貴方しか見えないもの!だから他の人にメールなんてできない!私、嶋村くんのことが、好きだから!」
………ウソである。
正しくはこう言った。
「私、実は昔、メールでトラウマ作っちゃってて、送るのにすごく勇気がいるっていうか……変な言い方だけど。気軽にメールするってのが、私にはどうしても……わからなくって。だから、最低限のことしか、メールできないってゆうか……」
なんと、メールにトラウマ!
なにがどうしてどうやって!
いや、もちろんその由来を追求したりはしなかった。
こんな俺でもデリカシーの多少くらいは持ち合わせていたりするのである。
しかし、それなら納得できる節があった。