超レ欲ス



気付いたら五分経ってた。

俺は弟のバカ発言にしこたま笑い倒し、実際十八回「バカ」と口にした。

「なんでバカだ!おまえのほうがバカだバカバカバカ照巳《てるみ》!生理だと苛ついたりするって、知らねーのかよ!バカテル!」

だから、その発言がバカなんだって!

……ああ、そうか。

タクの勉強机の隣の壁に貼ってある週替わりの時間割に目をやって納得した。

今日の六限、「学活」。

内容、「性について」。

そうかそうか。

今日ユーはひとつ大人の階段をのぼったんだね、そらぶふっ、大したご成長っぷりっであひゃひゃひゃひゃ!

「わ、わ、わかんねー俺バカだし。ヒヒヒヒ!な、なんなら、訊いてきてやろうか、それ。ほほ、本人に。っくくく。タクが心配してるっつって」

俺のグッドアイディアに顔を真っ赤にする小学五年生。

「ほ、ホントテルってバカだな!そんなの、訊いたらもっと怒るに決まってんじゃん!少し考えてからしゃべれよバカ!」

「バ、バババカだもんなぁ俺」

何をバカにされているのかはわからないが、からかわれてるのだけはわかるらしく、タクの顔色は照れの赤みから怒りのそれへ変わっていった。

「もういいよバカ!姉ちゃんのことなんかテルは全然心配じゃないんだな!家族のこととか、おまえ考えないんだな!サイテーバカテルクソウンコハゲ!」

だ、誰がハゲじゃい!

おまえこそ、俺のガラスのようなプライドを少しは心配しろ!

< 14 / 235 >

この作品をシェア

pagetop