超レ欲ス

ただ――、

「これは前の問題とつながってるんだよ。だから、こう……やって、つながりをかもせば、だいたい丸になるよ」

「はぁ」

「ちゃんと見てね?勉強と暗記は違うよ。覚えるだけじゃ、ちょっとひねられたら簡単に引っかかっちゃうんだから。そんなの、悔しいじゃん、負けたみたいで。そう思わない?」

「そうかな」

「うーん。私だけかな。まぁいいんだけどさ。で、これの具体的な解き方はね……」

――わかっていただけるだろうか?

志田と接するとき、彼女はいつもと違う、と前に近江が言っていたのを思いだした。

それはつまり、こういうことだったのだろう。

普段の彼女は周りの顔を立てる人である。

俺が小説の感想を述べるときも笑顔で黙って聴いていてくれるし、話す言葉づかいも穏やかである。

しかしその姿はどこか社交的で、彼女の本当ではないように感じられた。

感じられた……と気が付けたのは、初めて話したときに隣に志田がいたからだろう。

素に近い彼女を一番初めに目の当たりにしていたからこそ、普段の彼女に違和感を感じられたのだ。

で、その正体がこうして今、へんりんを現したというわけだ。

負けず嫌いで世話好き。

普段とは正反対のチャキチャキお姉ちゃん。

それが浅瀬晴美の本当の姿だったのだ!

館内で目立たない程度の小さな声だというのにこれだけの威圧感。

なんという大物!

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