超レ欲ス
しかしまぁ――、
「コレ貸してあげるから読んでね。古典とかは慣れだし、世界史は流れで覚えるものだから。体に覚えさせるの。私が読んでるあんな本読める嶋村くんなら大丈夫だから」
「あ、あんな本……」
「わかりやすいの選んだんだよ。こういうのにもあたりはずれあるんだから」
「ありがとう。ちゃんと目を通すよ」
「ダメだよ、目を通すだけじゃ。いつもの本の感想みたいなのでいいから、思ったことメモして。そうしたら、もう一回読むの。ちゃんと頭に入るようにね」
「これを、二回っすか……」
「あ、読むところは全部じゃないよ。得点にならないところまで覚えるのもしんどいもんね。えーっと、ちょっと待って…………はい。この印の範囲だけでいい」
「こ、これを二回っすか……」
「これを二回です」
にこっと笑う浅瀬ちゃん。
その笑顔は、やることをやっているといったふうな、自然で、やはりすごく可愛らしいものであった。
――しかしまぁ、そんな自然な彼女も、これはこれで……、
いや、こんないい方は失礼かもしれないけど……格好良いかもな、なんて思った。