超レ欲ス



「しっかし、思ったより盛り上がったな」

嬉しそうに香田が言う。

みんなバテバテで、殴り合ってしびれた腕を地につき、堤防に並んで座っている。

「つうか、思ったんだけど、志田ってなんかやってた?何気にハンデなんかいらねーくらいイイ動きしてたじゃん」

「ん?さぁ。一応部活で体は動かしてるけど、他はべつになにも」

「へぇ。志田、部活なんてやってたの?」

「ん。園芸部」

「園芸部って、帰宅部といっしょじゃねえの?」

「そっか。普通そういう認識なんだよな。オレは違うの。ほら、校舎の裏に、花壇あるだろ?アレの世話とかしてんの」

「へぇ。おれ、それ見に行ったことないや」

「部活やってなきゃ通らないだろうな、あそこは」

「正人はサッカー部だっけ?」

「最近ユーレイ部員気味だけどな」

「あれ、そういやそうだな。サッカー部、土日なんて空いてないだろ。どうしたんだよ香田。おまえサッカー好きだったじゃん」

「んー?なんか最近つまんねえから行かない」

「飽きたの?」

「まぁそんな感じ」

「ダメじゃん」

「部活やってねえ奴にはわからない複雑な事情が、あったりなかったりするんだよ」

「で、こんな河原でバカボクシングか?」

「つまんねえことはやらない。面白いことがしたい」

「それでサボりかよ」

「うるせー!暑いんだよ!やってられるか!」

そう言うと、香田は不意に立ち上がった。

「死ねー!柏木のバカヤロー!」

そしてアチョーと、跳び蹴りをするように川に飛び込んだ。


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