超レ欲ス

「海、行きてーなぁ」

「もうじき夏休みだろ。誰か女の子でも誘って行けばいいじゃん」

「女と行く海は面白くない」

あ、そ。

もう経験済みなのね。

チッ。クソ忌々しい。

死ねよ色男。

「おまえこそどうなんだよ。昨日会ってたんだろ?その子、誘ってどっか行くとかないの」

「はっは。あってもおまえには言わない」

まぁ、当然あるはずもないんだけど。

そういえば、彼女のことで思い出したが、この鞄の中に入っている単行本、いつ渡せばいいのだろうか。

いつも俺は昼休みに借りに行っていたけど。彼女もそうするのだろうか。

いや、ここは待ちより攻めであるべきか?

俺の方から持っていったほうが好印象だろうか。

いや、それともかえって必死な感が出て気持ち悪いだけだろうか。

「どしたーテル。暑さでのぼせたか?」

「なんでもない」

まぁいいや。

放課後になっても来なかったら、持っていけばいいか。

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