超レ欲ス
俺がいつも座る席には、いや、俺がいつも座る席が、ない。
あれ?これってもしかしちゃってまさかのいじめ?
…………いや違う。
なかったのは俺の席だけじゃなかった。
前にあるはずの志田の席も、隣にあるはずの香田の席も、ついでに、後ろにあるはずの杉田の席まで、全部所定の位置になかった。
「……何やってんの、おまえら」
「ようテル、来たか。テルもやるか?タッキュー」
でかいスーパーボールを持って嬉々と応えるは香田正人。
「あのさ、俺今来たばっかだし。鞄とか置きたいんだけど」
「おいおいおいおいー。ここはやるって言えよー、しけるなァ」
俺は絶対間違っていないことを言った。
なのに、場の空気はなんだか変な感じになってしまった。
「やるけど。さき鞄置かせろって言ってんだろ。勘違いすんなって」
なぜ俺が気を遣った発言をしてるのかまったくわからなかったが、そう言わなくてはいけない雰囲気になったので、正直うんざりしながらもそう答えた。
俺をはじめ四人の座席……いや机は、よっつ合わせてひとつのでかい長方形に固められていた。
これを卓球台に見立て、球はでかめのスーパーボールを手で打つことで、杉田と香田、それからクラスの目立つ面々は、擬似卓球を楽しんでいたようだった。
ほんとうんざりだ。
朝っぱらからどんだけ元気なの、おまえら。