超レ欲ス



「ただいまー」

居住用の玄関から中に声をかけ、あがる。

すると奥からおふくろが険しい顔で出てきて、なんだかひそやかに話しかけてきた。

「またやったわ。お父さんとハル」

それを聞いて頭痛がするのをこらえ、玄関の靴を見てみる。

あーあ。

ほんとだ、あるある。

部活動に入っているからまだ帰っているはずのない春巳の靴が一足、ちょこんと並んで置かれていた。

「なんで。朝、俺出る前は普通だったじゃん。あのオッサンまたなんか言ったの?」

おふくろはふうと溜息ひとつ吐いて、

「わかんない」

お手上げした。

気分はますます滅入る。

「とにかく、あたしじゃどっちも話しにならないのよ。テル、悪いんだけど」

「……んー。わかった。けど、拗ねてるだけの親父はなんとかなるにしても、俺じゃハルはどうにも。自分の気が済むまで、多分話しも聞かないぞ。アイツ」

そして、ふたりして嘆息。

まあ、やるだけやってみますかね。

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