超レ欲ス

「なんでハル引きこもった?なんて言ったら行っちまったか、それは覚えてないの?」

「…………」

黙って調理を再開する親父。

本当にわからないのか、拗ねて言うのがイヤなのか。

「じゃあ、ハルに訊いてくる」

「ま、待て」

「なにさ」

「……っと。仏壇の掃除しようかって言ったら、怒ったんだよ」

…………。

それはハルが怒るわけだ。

そんな心にもないこと言うんだもん。

でも、

「ふうん。今日のは大人しめだな。父さん、それで怒られるってことは、もう食堂の仏壇、半径1m以内には近寄らないほうがいいかもな」

今回はハルにも問題多いな。

「まぁ父さん的には親切で言ったつもりなんだろうけど、アイツその件には触れてほしくないんで黙ってるんだよ。ハルが出てきたら、そのことに関しては謝ってやんなよ」

「ん。ん~」

うなりながら俯いて、また黙る親父。

ま、こっちはこの辺でいいだろう。

俺は厨房を後にして、ハルの部屋へ向かった。

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