超レ欲ス
第三章
16
夏休みになり、俺は外でバイトをすることにした。
とにかく家にいたくなかったのだ。
タクは「なんでなんで」とやかましいし、親父は拗ねて未だかつて無いほど機嫌が悪いし、おふくろはそれに付き合うので精一杯で俺にあたるしで、家にいても何もいいことがなかったから。
ぜーんぶ知るか。俺にはなんにもわかんねーよ。
そう言ってみたところでどうにもならないので、俺はもう放っておくことにした。
能動的に外へ出る良い手段はないか。
さんざん考えたところで、バカな俺にはそれ以外思い当たらず、気乗りはしなかったがその案に甘んじることにしたのだ。
正直、このクソ長い休みを家に居続けるよりはよほど気が楽だったから。
それと、唐突に決別表明されてしまった、彼女への未練をどうにかしたいというのもあった。
家でじっとしているとそればかり考えてしまうので、何かアタマカラッポにして体を動かすことをしたかったのだろう。
といって、バイトなんかしたこともなかったので、どのように探せばいいのか、俺は途方に暮れた。
「バイト募集」の張り紙を見つけても、大抵「十八歳以上」だの、「高校生お断り」だのいった言葉が添えられていて、しょっぱなから挫折しそうな勢いになった。
それでも、家にいるとその気すら失せ、町でバイトの広告を見つけては電話番号をケータイのカメラで撮って、片っ端からかけまくった。
夏休み限定という条件が、なかなかネックであるらしく一週間はそれで潰れてしまった。