超レ欲ス
それでも仕方がないので、俺は放り出されたように離れた場所に置かれた自分の椅子に鞄を置く。
で、その隣で、やはり放り出されている椅子の上に、なんかボケッとバカっぽく座っている奴がいたので、挨拶だけすることにした。
「よう志田、おはよう。おまえはやんないの?アレ。卓球」
俺が声をかけると志田は、
「ん?ああ、テルか。おはよう。あー。アレ卓球のつもりだったんか。朝来たら、なんかやってるから、なんぞ一限の準備でもしてくれてんのかと思ってた」
などと、とぼけた返事をした。
現代文の授業で、なぜあのような仕掛けをこしらえる必要があるってんだ。
「おまえ、バカなこと思いつくなぁ。あんなの、ただ騒ぎたくってやってるだけだぞ」
「ふうん。オレ、そーゆうのわからんな。騒ぎたくて遊んでるのか?面白いからやるんじゃなくって?……そういうもんなんか」
志田はボーッと香田たちの様子を眺めながら、文字通り他人事のように言った。
俺はそれを聞いて、なんだかあそこに交じりに行くのが急にバカらしくなって、志田の椅子の隣に投げ出されてある杉田の椅子にどっかと座った。
「まぁ、香田は楽しいからやってんだろうな。周りの連中は知らねえ。便乗してるだけだろ」
要は目立ちたいのか。
香田のバカのことなんざ、ほんとはウザがってるくせに。
なんか、あいつらの方がよっぽどバカっぽいよな、そう思うと。
「ん、どうしたテル。やんないのか?アレ」
「やめた。バカバカしくなった。俺、こんな湿気っぽい朝からはしゃぐほど、元気少年じゃねえし」
「そうか」