超レ欲ス



ピッピとケータイをいじる。

発信履歴を見れば、そいつの名はすぐに見つかる。

二度のコール音のあと、相手が出た。

『あい』

と、気だるそうな応答。

「よう。元気?」

『寝てた』

「そうか。夏だな」

『夏だな』

「残暑厳しいな」

『クーラー効いた中にいるからわかんね』

「海行った?」

『いや』

「そうか」

不毛なトーク。

さっさと用件を言えよ。

「な、明日とか空いてる?」

香田は電話越しでもわかるほど盛大にあくびをしたあと、

『じゃあ、空けるわ』

とだるそうに言った。

お盆休み一日目。

こうして俺はとりあえず、香田の家に避難して過ごすことにしたのだった。

< 181 / 235 >

この作品をシェア

pagetop