超レ欲ス
*
ピッピとケータイをいじる。
発信履歴を見れば、そいつの名はすぐに見つかる。
二度のコール音のあと、相手が出た。
『あい』
と、気だるそうな応答。
「よう。元気?」
『寝てた』
「そうか。夏だな」
『夏だな』
「残暑厳しいな」
『クーラー効いた中にいるからわかんね』
「海行った?」
『いや』
「そうか」
不毛なトーク。
さっさと用件を言えよ。
「な、明日とか空いてる?」
香田は電話越しでもわかるほど盛大にあくびをしたあと、
『じゃあ、空けるわ』
とだるそうに言った。
お盆休み一日目。
こうして俺はとりあえず、香田の家に避難して過ごすことにしたのだった。