超レ欲ス



「コレなに」

んで翌日。

いつものように気楽な調子で香田に部屋へ通され、何気なく座った先にちょこんとあったものを指さして言った。

「ん?あぁ、忘れていきやがったのか。ホント最悪だったんだぜ、昨日さぁ」

「いやいい。事情は話さなくていいから。そんなハナシ、聞きたくない」

片手に収まるサイズの化学繊維的な、ビニール的な、四角形の物体。

明らかに生理用ナプキンだった。

香田の母親が……は、今の言いぐさからいってまず有り得ないだろうから、これはまぁ、そういうことなんだろう。

……いや。聞きたくはないが。

「おまえ、悩みなさそうでけっこうだな」

「おまえだって似たようなもんじゃん」

俺は溜息ひとつ吐き、

「まぁ、それもそうか」

と、そのナプキンを手裏剣のように放り、香田の顔にぶつけた。

「いてーな」

それを見て俺は笑った。

< 182 / 235 >

この作品をシェア

pagetop