超レ欲ス
「……んなだからなめられるんだよ」
香田がなんか言ったが、よく聞き取れなかった。
「あ!そうだ。今連絡入れろ、ソイツに」
いや、今度のはよく聞こえた。
「ふぁっ?」
「おまえひとりだと、どうせうじうじうじとなんもしねえでオシマイだろ?だったら今、ここで、ケリつけんだよ!だってこれ以上悪いようになるか?嫌われてるかどうか、ちゃんと確かめてみろよ」
「な、イヤだよ。切られてる時点で、もう嫌われてんじゃん。それ以上追っかけたら……ストーカーみてえじゃん。よけい気持ち悪がられるだろ」
「そんなもん気にしてんじゃねえ!ストーカー?けっこうじゃねえか。気味悪がられるんならそれはそれで、きっちり諦めつくだろ!ほらすぐだ!電話しろ!」
俺はそう言われて初めて気が付いた。
「……俺、彼女のメアドしか知らない……」
ティッシュペーパーを握る手から力が抜けた。
そうだ、俺、彼女の電話番号さえ知らなかったのだ。
それで……、メールちょっとやり合う関係になっただけで、何をあんなに浮かれていたのか。
ああ。
俺ってなんて思い上がり。
俺ってなんて気持ち悪い。
俺ってなんて自意識過剰。
なんてこった。
俺、彼女にとっちゃ、友達ですら、なかった。