超レ欲ス
17
お盆休み二日目の朝。
俺は死んでいた。
……もちろん冗談である。
死んだようにベッドから起きなかった。
起きあがるのがおっくうで、むなしくて、気持ち悪くて、嘘っぽかった。
昨日、俺は彼女にメールを送った。
今さらだが、なぜ突然縁切りを訴えたのか、その理由を確かめるために。
返信は比較的すぐに来た。
内容は、実にシンプルなものだった。
……ああ、思い出したくないのに昨日から頭の中でループし続けている。
『ごめんね~(なんか手を振っているような絵文字)彼氏ができたから、他の人(男ってことだろう)とメールしないことにしたんだ(なんかネコの絵文字)』
さすがに香田もそれ見せたら言葉を失ってたね。
だって、写メ付きだったんだもの。
なんか知らない男といっしょに写ってるの。
久しぶりに見た彼女の顔は満面の笑みでさ。
例のボブヘアの似合ってること可愛らしいこと。
……まぁ全然嬉しくなかったけど。
香田は言った。
「ビールとってくる」
俺は抜け殻のようになりながら、ああと返事をした気がする。