超レ欲ス
俺はすっかり自分の部屋のペッタンコ二段ベッドに寝ている気だったが、それはどうやら違っていたようだ。
段々と意識が明確になってくる。
あぁ、そうか。
俺、ゲロッたあと帰らずにそのまま香田の部屋で寝ちまったのか。
「そっか。すまん。おはよう」
「おまえのケータイ三回くらい鳴ってたぞ」
香田にそう言われて、俺はケータイを見た。
わーお。
『不在着信15件自宅』
三回どころか。
十五回って、単なるいやがらせだな。
おそらくは、昨晩家に帰らなかったことに対するお小言が目的だったのだろうが。
香田の家に行くって出たんだから、そのくらい放っておけよ。
……親父だな。
俺にばっかり八つ当たろうとしやがって。
一応かけ直して事情を説明する。
出たのがおふくろだったのがまだ幸いだった。
そんで、今日も帰らないかもしれないけど、もうかけてくんなと付け足してやった。
「おまえんとこの家族、みんなおまえそっくりだな」
電話を五分ほどして切ると、横で聞いていた香田が聞き捨てならない感想を述べる。