超レ欲ス
「海って、どこの海行くの?」
「どこでもいいじゃん。近くでなるべく金かからないところ」
「オレ、海パン持ってないぞ」
「テルも途中で買うから、いっしょに選べよ」
で、気が付けば、いつのまにやら人数がふたりほど増えている。
おとぼけ天パ少年こと志田と、キレ気味読書少年こと浜野である。
あれから香田は手際よく、この大場《おおば》駅までふたりを呼びつけた。
いやはやまったく、その行動力には感服です。
それにしてもヒマな連中だよ。
急な誘いだったはずなのに、その三十分後にはしっかり集まってるんだから。
志田なんて彼女はどうしたのだ。
デートで忙しかったりしないのだろうか。
……俺が言えたギリではないが。
「そうだな……。それじゃあ、一番近いのは、安佐《あさ》浜になるのかな」
「じゃあそこで。拓也、どう行くかわかる?」
「わかるよ。何度か行ったことあるし。……家族とだけど」
“家族”という単語に照れちゃうところがなんともお年頃だな。