超レ欲ス



ガタントトンと電車が走る。

窓の外では木々がビュンビュンと流れていく。

遠くの風景はゆっくりと流れていく。

夕日が西の空へ沈んでいく。

あれから三時間ほど遊んで四時を少しまわったころに、そろそろ帰ろうか、ということになった。

ただ今帰りの電車内。

特急列車はどんどん進む。

安佐浜のあった町は、ついさっきのトンネルを抜けたところで見えなくなった。

「やっぱ海は男同士で行くに限るわ。な?テル」

隣、通路側の席に座る香田は嬉々として言った。

その顔は日に焼けて真っ赤になっている。

「女と来たことないからわかんねえ」

ひねくれた返事をする。

すると香田は大仰に溜息をついて、

「引きずんじゃねえって。女なんてソイツの他にもいっぱいいるだろ」

まったくこれっぽっちも関係のない話を持ち出してきた。

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