超レ欲ス

18


どうしようもない問題を一時棚に上げて、そうして他の楽なことに没頭したり溺れたりすることを、人は逃避と呼ぶ。

この夏の俺は、けっきょく逃避をするだけで終わってしまった。

もう指名手配されてもおかしくないほど、何もかもから逃げまくっていた。

親父とおふくろに任せただけでは友人の家にプチ家出中のハルが家に戻らないのはわかり切っていたし、俺がバイトに没頭しようと貯まるのは疲れと金だけで、根本的な俺の内情がどうにかなるわけではないことだって知っていた。

バイトをしているからという理由で、明日明日と棚に上げ続けた夏休みの課題の数々が、ちっとも減らずにあることも、見ないようにしていただけでわかっていた。

それでもけっきょく学校が始まる今日まですべて放置し逃げてしまったのは、やはりそれらと向き合うことの方がバイトや体の疲れがつのることよりも勇気がいったからだろう。

だが、今まさに俺はそれらをすべて精算しなければならない。

いや、せざるをえなくなってしまった。

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