超レ欲ス
じいちゃん。
親父の親父。
ちょっと前までいっしょに暮らしていた、我が家の六番目の家族である。
ばあちゃんは俺が生まれる前に死んじゃってたんで、どんな人だったかも知らないけど、じいちゃんに関してはいろいろと、まぁ現在のうちに限っていえば重くでかい位置にいた人物なのである。
まぁちょっと古いハナシになるんだが、十年ほど前に店を開くまで、親父は専業主夫なんて今にしても流行んないことやっていた。
っても、それでただ遊んでたわけじゃないのを俺は知っているし、実際今現在、親父は修行して勉強して資格とって立派に店を経営する身になっているわけで、なにひとつ恥じ入るところなんてありはしないはずである。
しかしまぁ嫁が働いて稼ぎを上げてくるなんてのは、昔の人であるじいちゃんには堪えられたもんではなかったらしい。
親父のことなんていないみたいに扱っていたもんだった。
そのくせ、おふくろには働かせているという負い目があったからだろう。
必要以上に優遇していた。
親父が店をやりたいと言いだしたときも、ただひとり反対したのが、このじいちゃんだった。