超レ欲ス

ここからはおふくろに聞いた話になる。

ハルが来たのは正午を少し回ったころだったという。

どうやら俺に電話した直後にここへ駆けつけていたようだ。

それで――、ヒッヒッヒ。

いや、これはいわないでおいてやろう。

まぁ、とにかく話し合ってめでたく和解したというわけである。

その話を聞いた時ゃ、タクが前に俺に言った言葉が頭をよぎったよ。


「家族のこととか、おまえ《テルは》考えないんだな!」


まったくその通り。

俺は家族と面倒事を起こさないように過ごす、すべを知っていただけ。

一番家族の心配をしていたのは、じつは一番迷惑をかけていた誰かさんだったりしたわけだった。

だから俺なんぞがいくら奔走しても、家族がまとまるはずなかったのである。

家族間でも人間関係。

ほんと、難しいもんだ。



俺はハルのいる反対側からタクの手をひっつかみ、

「じゃあ明日は三人で行こうぜ」

ガラにもない気色の悪いことを言ってやった。

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