超レ欲ス
ここからはおふくろに聞いた話になる。
ハルが来たのは正午を少し回ったころだったという。
どうやら俺に電話した直後にここへ駆けつけていたようだ。
それで――、ヒッヒッヒ。
いや、これはいわないでおいてやろう。
まぁ、とにかく話し合ってめでたく和解したというわけである。
その話を聞いた時ゃ、タクが前に俺に言った言葉が頭をよぎったよ。
「家族のこととか、おまえ《テルは》考えないんだな!」
まったくその通り。
俺は家族と面倒事を起こさないように過ごす、すべを知っていただけ。
一番家族の心配をしていたのは、じつは一番迷惑をかけていた誰かさんだったりしたわけだった。
だから俺なんぞがいくら奔走しても、家族がまとまるはずなかったのである。
家族間でも人間関係。
ほんと、難しいもんだ。
*
俺はハルのいる反対側からタクの手をひっつかみ、
「じゃあ明日は三人で行こうぜ」
ガラにもない気色の悪いことを言ってやった。