超レ欲ス

石段を下りきる。

親父とおふくろとは、ここでいったんお別れである。

「それじゃ、今晩は何が出てくるか、楽しみしてるからね」

おふくろがハルに振り返って言う。

「なんだっていいんだ。いろいろ作ってみることが大事だからな。ハルが作るんだぞ。そりゃなんでもウマイに決まってる!」

親父が耳障りな声でがっはっはと笑う。

毎回言ってるぞ、その台詞。

オッサンどんだけ嬉しいの。

俺はおふくろから電車代と買い物代を受け取る。

これを使って俺とハル、タクの三人で片須加まで戻って買い物して帰れ、という意味である。

親父とおふくろは適当に時間を潰し、夜になったら帰る手はずだった。

まったく。幸せ家族かよ、とつっこみたくなるイベント仕立てである。

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