超レ欲ス

そんなやりとりをしているうち、片須加で電車が止まる。

「あ、俺たちここで降りるんだよ。キミらはどこまで行くの?」

「ん?どこだっけ」

「次でしょ!大場駅」

「……だそうだ」

「あ、そう。それじゃ、まぁ、よい秋を」

そこで俺は、あることを思い出し、

「あ、そうだ近江」

とタクと変わらない背丈の、志田と手をつないでいるお嬢さんを名指した。

「え?なに?」

俺に優しく微笑みかけてくれる近江。

「ごめんな」

昔、とある大バカがやらかした何かを今さら詫び、困惑する彼女に手を振って電車を降りた。



「ねぇ、アサセって誰?」

訊いてきたのはハルである。

「ん?友達。同級生」

「ふうん」

それで納得したのか、ハルはそっぽをむいた。

――な?

友達、でいいんだよな?

浅瀬晴美さん。

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