超レ欲ス



俺は勝負に負けた。

彼女からはその日の夜のうちに電話がかかってきた。


『この程度で泣くなんて、キミもまだまだですね』


そう言った彼女は、なんだか上機嫌であった。

約束通り、俺は素直に非を認めて謝るという屈辱的なことをさせられ、それから彼女のグチに近いお小言を食らいまくった。

要するに、だ。

俺と彼女では、互いに対する認識の前提から違っていたらしい。

俺にとっては異性の相手。

彼女にとっては友達。

あるいは親友。

大事だけど、まぁそこまでの人。

俺には異性に対して友人感情なんてもの持てなかったので、その誤解が発生したとかなんとか。

つまるところ、俺は初めから男として見られていなかったわけである。

しかしそれでは悔しいではないか。

だから約束通り、聴かせてやることにしたのさ。

いや、俺の負けだから、聴いていただくことになった、が正しいのか?

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