超レ欲ス



兄妹三人で買い物を終え、帰り道の遊歩道を歩く。

歩道の端に等間隔で植えられた木々は色付き始め、さながら秋真っ盛りといった感じである。

不意にズボンの中に入っていたケータイが震えて、俺は足を止める。

「ハル、ちょっと俺、ケータイ鳴ってるわ。これ一コ持って」

両手に持ったショッピングストアのビニール袋のうち、軽い方を持ち上げて、ハルに示す。

肩に鞄を提げてるだけで手ぶらであるハルは断る余地がない。

俺は空いた手でポケットからケータイを取りだし、着信の確認をする。

メールだ。

送り主は……ハァ。あんたですかい。


『これからデェトです。うらやましいだろう!』


ご丁寧に写真まで添付されている。

男と肩を組んだ少女の写真。

少女は満面の笑み。

男の方は苦笑い。

はて、この男、いずこかで見たような。

――あぁ、そうか。

海に行った帰りに見た、あのギャル男ふう男子である。

たしかにいかにも軽そうだな。

ケッケッケ。

こんなのに騙されてやんの。

バーカ。

おまえ浮気されてるよ。

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