超レ欲ス
でも言ってやらない。
しかしかわりにヒントぐらいやろうかな。
そうですね。
うーん。
――あぁそうだ、ピンと来た!
ケッケッケッケッケ。
「ハル、このケータイで俺とタク撮って」
「は?なんでよ」
俺はケータイに付いているカメラを起動させ、困惑するハルに渡す。
で、左手に持っていた袋も地面に置いて、準備完了。
「秋の景色との一体感をはかるんだよ。ほら、連続撮影モードってのになってるから、俺が親指立てたらシャッターな」
「バカじゃないの」
言いながらハルはカメラを構える。
「さぁ、タク。秋の空だぞ、見てみろアレ」
「テル、なに言ってんの?」
そう言ってタクが見上げた瞬間、俺はその小さな肩をがっしと掴み、そしてそのまま――その唇に自分の唇を重ねてやった。
ケータイカメラのシャッター音。
それに併せて撮影者の笑い声が遊歩道に響きわたる。
その声は名前が同じ誰かの声と重なり、こだましながら、その秋の空へと消えていった。
おわり