超レ欲ス
「おいテル。ボール返せよ。この後、またやろうと思ってたんだからよ」
唐揚げを頬張りながら、香田が言う。
「ダメだ。おまえはテトリスでもやってろ。当てたのが俺だったからまだよかったようなもんで、こんなもん、女の子に当たったらどうすんだよ」
「フェミニンなこというな。嶋村って」
すでにメシを食い終えていた浜野は、なんだかしたり顔で言った。
……やめろ、そのにやけ面。
「なんだよ、ヘミニンって」
「まぁ、女性を大事にするってことかな」
「じゃあ、おまえは思わないってのか?当たったら悪いとか」
「おれ、体動かすの苦手だし。やらないもんそんなの」
「そういう問題じゃねえよ。誰かに迷惑かけんのは、気が引けるもんじゃないかってゆうハナシ」
「俺は思わんけどな」
からから笑いながら答える香田。
うん知ってる。おまえには訊いてない。
「おれ、そういうこと考えながら過ごしたことって、ないな」
香田と違い、わりと真剣な顔で答える浜野。
「なんで」
「だって前提じゃない、それって。生きてりゃそれだけで迷惑かける。誰かしらにね。しようがないことだもん。そんなこと考えてたら、生きてられないって」
それはどこか自嘲じみていた。
なんか、理屈っぽい言い方する奴だな。
「そっかぁ?まぁそりゃバカの野郎がいくらバッコンバッコンにされたとこで、俺だってどうでもいいよ。でも、女の子だぞ?傷つけたら、やじゃねえ?」
俺が言うと、浜野はやはり笑って、
「やっぱ嶋村はフェミニストだ」
と俺を小バカにするように言った。
「そんならおまえは一生大事に童貞やってろ。バカバカしい」
そしてさらに、バカの香田にまでこんなことを言われてしまった。