超レ欲ス
“まず”があれば“次に”がある。
次に俺は志田の姿を認めた。
やはりB組にいるには違いがなかった。
だが、なんだか様子がおかしいではないか。
何がおかしかったのか。
簡単にいおう。
志田のバカは彼女がいるにもかかわらず、すぐ近くで見ているにもかかわらず、別の女の子とくっちゃべっていやがったのである。
俺は通り過ぎてしまいたかった。
まぁそういうこともあるよね、とよけいなお節介ははたらかず、トイレにそのまま行ってしまいたかったのだ。
だがそれができなかった。
だって体が、胸の奥が、ピリピリしちゃったのだもの。
久しく感じたことのなかったそれは、俺の理性的な意識を無視して、B組の中へ足を運ばせて、そして一直線に志田にむかって歩を進めてしまったんですもの。
ふたりが何をしているのかが見えた。
ケータイを取り出してメアド交換。
さらにピリピリ。
相手の少女の顔が見えた。
近江ほどではないにしろ、可愛かった。
さらにさらにピリピリ。
志田の顔……は背中をむけてて見えない。
頭ぽりぽりかいている。
その余裕におまけのピリピリ。
もう届く距離だ。
目の前まで来てしまった。
俺よりやや丈の高い志田の背中を眼前に、もはや胸の奥ではピリピリを通り過ぎて、ビキビキと弾けるような不快極まりない音の回転でグチャグチャだった。
理性では周りの目が気になっているはずなのに、体クンはそんなもんちっとも聞いちゃあいない知ったこっちゃあない。
そしてとうとう、ぐわしっと力を込めて志田の肩を掴んだ。