超レ欲ス

トイレから出て、廊下を歩きながら再び尋問。

ただし今度は落ち着いて、小さめの声で。

「……おまえ、近江と付き合ってるって言ったよな?」

「うん」

「なのに、その目の前で他の女と楽しげにしてるのは、どうなのかっていうハナシだよ。わかるか?」

「ああ、そういうことか。んー。でもアレ、しぶきが聞いてこいって言ったから行ったんだぞ」

「はい?いったからいったって?近江が?なんで?」

「だってアイツ、オレの妹だからな」

「あん?」

トートツによくわからない単語が出てきて、俺は歩みを止める。

「妹?……って、近江のこと言ってんのか?」

半歩先で、同じように志田も足を止めた。

「や、なんでだよ。妹とは付き合うって言わんだろ。さっき話してた方」

「……同級だよな」

「同じ歳だな」

「同じ歳で兄妹って、珍しいな」

「そうか?」

ケロリとした志田の表情。

これで嘘ならよっぽどのバカか、やな奴だが、志田がそんな器用な奴でないことは、この数ヶ月の付き合いでもわかっていた。

だからって、同い年の兄妹というのは、いささか怪しすぎた。

だから、俺はこういう問いかたをしてみた。


「じゃあ、俺に紹介しろ。妹を紹介する。問題ないよな?」


……バカである。

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