超レ欲ス

要は共通の話題。

若者がみんなこぞってこの本を読んで感想を述べあうように、俺と彼女の共通の話題をふればよいのだ。

なら簡単だ。

ふたりの接点……すなわち志田。

あの野郎関連のハナシから入ればいいんじゃねえか。


「テル!風呂!」

「ぎゃあ!」

「なんべん言わせんだよ!今すぐ入れバカ!」

「ちょ、ちょい待ち。今メール待ちしてるから待って。ほら、大きい声出すとタクが起きちゃうだろ?」

睨むな。目が怖いっつーの。

「もう言いに来ないから。お湯が冷めたってお母さんに叱られても知らない」

吐き捨てて春巳さん三度目のご退場。

むしろもう来るな。

さて、方針が決まったところで早速メールを打つ。

無難かつ、志田の話題をさりげなく入れて、相手が返そうかと思うようで、それでいて押しつけがましくもない内容の……。


送信。


あーっ!

押しちまったーっ!

もう後には引けねえ。

これで、これで後は待つのみ。

おふくろがなんかリビングから怒鳴っているが知らん。

俺は待たねばならぬのだ。

さあ来い、浅瀬晴美。

俺は意気揚々、次に攻めてくるパターンを頭の中でシミュレートしながら待つ。待つ。待つ。



で、そのまま日付が替わり、朝になっても返事なんぞ来なかったわけだが。

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