超レ欲ス
6
なんでだろう。
謝りたい気持ちでいっぱいだった。
ごめんなさい。
誰かにコレを見せてしまって、今すぐ謝罪しなければならない気がした。
『メール来ました。今日は悪かったです。とりあえず、今後ともよろしく。ああそう、志田が言ってたんだけど、浅瀬ちゃん、本好きなんだってね。なんかオススメとかあったら今度教えてよ。うん、志田に渡してくたりしてくれるとありがたい。そういう複雑な兄妹のこと、俺よくわからないけど、せっかく和解したんだからさ、仲良くしなよ。それじゃあ。』
夜が明けて、五十七回目の自己採点。
つうか、長いよな。
こんな長文、女の子読まないんじゃねえのか。
バカだ。
で、くどい。
華がない。
文をうまく回そうとして、見事にうまく……失敗してる。
ダメだ。バカだ、バカだ。
トドメに目線高い。
なにが「仲良くしなよ」だ。
なんで兄貴ぶってんだよ。このノータリン。
ああ、バカだ、バカだ、バカだ!
自己採点数は回を重ねるごとにどんどん下がってきていた。
だって来ねえもん。
来ねえんだもん、返事。
気が付けば時刻は朝五時をまわっている。
俺はケータイを置いて、ゆらゆらと幽鬼のように頼りない足取りで食堂へ向かった。